温熱環境の6大要素とは

住まいにおいての「快適性」とは、主に室内の「快適な温熱環境」と言い換えることができると思います。温熱とは簡単に言うと暑い・寒いなどのことを指します。
建築屋kateiでは、温熱に関する6大要素のポイントから理解し、住まいづくりに役立てています。

快適性の6大要因。室温、湿度、気流、放射、代謝量、着衣量

温熱環境の6大要素とは?

①室温

個人差はありますが、一般的に夏場の室温は25度から28度、冬場は17度から22度が快適とされています。また、室温で不快にならないためには、足元から頭部までの間で室温を±3度におさめることが必要です。

★弊社での対応策

建物の断熱気密性を高め、適切な空調・換気計画を行います。
具体的な性能数値としては、愛知県の場合、断熱等級6(HEAT20の場合G2)のUa値は0.4前後、C値は0.4前後です。
また、最小限の汎用エアコンによる空調や第一種換気設備の採用も検討しています。

室温イメージ(夏の場合、冬の場合)

②湿度

湿度は50%から60%が適切です。部屋の湿度が高いか低いかで温度の感じ方が変わってきます。
場合によっては除湿や加湿が必要になります。

★弊社での対応策

梅雨・夏時期は汎用エアコンでの除湿をメインとします。場合によっては除湿器を使用します。
冬期は部屋干しなどを併用、場合によっては加湿器を使用します。

湿度イメージ(夏の場合、冬の場合)

③気流

気流は室内における空気の移動、流れのことをいいます。夏場は室内に熱い気流、冬場は冷たい気流を生まないことで、快適な温熱環境が整います。

★弊社での対応策

建物の気密性能を断熱とともに高めます。平均的な気密C値は0.4前後です。また、窓からの冷気を防止するために、主に樹脂窓など断熱性能の高い窓を採用します。

気流イメージ(そこそこ断熱があっても気密が悪い家の場合)

④放射(輻射)

物体と身体は放射によって熱のやりとりを行い、これを輻射熱といいます。熱は温度の高い方から低い方へ流れます。例えば、暖房が効いた部屋でも床が冷たいと体感で寒く感じるのは、この輻射熱の影響です。

★弊社での対応策

前述の通り、断熱気密性能を高めるために、床も重要です。床は住まいで最も触れ合う面積が多いため、断熱性の高い床の仕上材を推奨します。無垢の床材は特におすすめです。また、床下エアコンを併用して基礎空間を温めることで、さらに暖かく感じることができます。

放射(輻射)イメージ。冬季の無垢床の場合と床下エアコンの場合

⑤代謝量

身体の代謝量は、室内の快適な温熱環境と密接に関連しています。一般的に、成人一人当たりの基礎代謝量は約100W程度です。歩いている状態では約3倍、作業時には約4倍の代謝量が増加すると言われています。これらの情報を考慮して、快適な室温設定が重要です。

代謝量イメージ

⑥着衣量

衣量は、身に着ける服の量を指し、量が多ければ多いほど断熱作用によって身体から熱が逃げにくくなります。温熱環境が整った室内では厚着をする必要はなく、薄着で過ごすことができるため、快適と言えると思います。

快適性の提案 番外編

太陽光線は私たちの最も身近な放射エネルギー源です。
住まいが太陽と上手に付き合っていくことで、快適な環境を提供するだけでなく、省エネにも抜群の効果を発揮します。
ただし、注意が必要で、適切な対策を講じないと家の中が暑くなりすぎる危険性もあわせ持っています。適切な断熱・遮熱対策や効率的な日射利用が重要ですね。

★弊社での対応策

パッシブ設計を基本に、夏場は太陽の熱を軒や庇などで遮ることを重視します。
室内側のカーテンなどでは効果が薄いため、建物の外でなるべく遮蔽します。
一方、冬は太陽熱をしっかりと室内に取り込むため、南側の窓を大きく開口することを考慮します。

夏場の太陽光線のイメージ(外部庇あり、庇なし)
冬場の太陽光線のイメージ