先日、豊橋市のとある場所にて、仲間の工務店の方達に主催して頂いた、Be-Doさんによる微動探査測定についての勉強会に参加してきました。
微動探査測定を初めて聞いた方も多いかと思いますが、これから先、どこかで耳にする未来が来ると思います。
簡単にいうと、建物や地盤の揺れやすさを調べる測定。
能登地震もあり、それだけ注目されている技術です。
この測定装置は元々は大型の建物向けに開発されたそうです。
あの東京スカイツリーでも採用されているとの事。
偉い学者さん達がこの技術は住宅でも使わないといかんでしょと・・
それに改良を重ね、住宅用に開発したもの。
Be-Doさんでは先日の能登地震に被害に遭われた住宅にて、実際に石川県の現地に赴き、測定を繰り返されてきたそうです。
被害にあったエリアごとに、表層地盤増幅率(地盤の揺れやすさ)を測定していくと、建物の倒壊被害などが多いエリアほど、表層地盤増幅率の数値が高いことがはっきりと出ている結果を見せて頂きました。
わかりやすかったのが、地盤をプリンとヨウカンに例えたとすると、その上に物を乗せた時に揺れやすい地盤がプリン、揺れにくい地盤がヨウカンです。プリンの方が圧倒的に揺れるのが想像できると思います。これが表層地盤増幅率の違いです。
これは、連日メデイアなどで、憶測でここの地盤はどうだと言われている情報と違い、プロが地道に確かな実測で情報として得た貴重なデータです。
詳細はBe-DoさんのHPにもまとめてありますので、ぜひ一度ご覧下さい。
Be-Doさんには、今でも震災被害に遭われ、ダメージを受けている建物に住んでいる方から、自分たちの住んでいる建物(建っている場所も含め)は大丈夫か調べて欲しいとの依頼が続いているそうです。
※Be-Doさんでは石川県の被害に遭われた方へは現在無償で測定にお伺いしているとの事です。
この勉強会に参加したのも、私自身この微動探査測定に大きな期待をしているからです。
微動探査測定のメリット・デメリットを私なりにまとめます。
◻︎メリット
①測定データの解析が国立研究開発法人防災科学技術研究所
ハザードマップなどをつくっている機関の有名な教授の方がデータ解析を監修しているため、信頼できる判断材料であると言える。
②リノベーション工事の地盤調査と、耐震診断に期待
現在建物が建っている状態で、その建物とその地盤の揺れやすさがわかり現状の耐震性能がわかります。
(測定できるのは木造の3階建てまで、※RCやS造は不可とのこと)
すでに建物が建っている状態では、SWS試験などの地盤調査が正確に判断できない可能性が高いですが、微動探査であれば、表層地盤増幅率を調べることで、その地盤の揺れやすさを確認することができます。
万が一、地盤が揺れやすいなどの結果が出れば、より建物の耐震性を強化したり、制震ダンパーを検討したり(地震力を吸収する装置)と対策がとれます。
③土地購入の際の判断材料
微動探査の測定は、非破壊つまり現況の土地に特に影響を与えないため、購入前の土地でも割と気軽に測定することができます。(地主さんなどの許可は別問題)その上で、購入予定の地盤が、表層地盤増幅率がどれくらいなのかを調べることで、購入のリスク回避、また耐震や制震の設計検討の判断材料ができます。
③SWS試験と組み合わせる事で更なる安心へ
SWS(スクリューウェイト貫入試験)では地盤の縦方向(沈下)などを調べるのに適しておりますが、調べられる深さに制限があります。また横揺れなどの揺れやすさまでは正確に実測することができません。
微動探査では反対に、浅い部分の縦方向の沈みなどを捉えきれない部分があるので、費用の問題はありますが、両方を組み合わせることでより正確な地盤の判定をする事ができます。
④新築時の建物の揺れやすさデータを取得できる
例えば耐震等級3の新築があったとして、それが建ったあとに実際にどのくらい揺れに強いかを測定するすべが今まではありませんでした。
しかしこの微動探査であれば、耐震性能の高い建物が、実際どのくらい建物が揺れにくいかを測定することができます。
さらに新築時に一度データを取っておけば、将来大地震に見舞われた際に、建物がダメージを受けたと仮定して、再度微動探査の測定を行えば、実際どのくらい揺れやすくなってしまったか、また建物の見えない部分でどの当たりがダメージを受けたかを、見比べることで判断することができます。
◻︎デメリット
①コストの面と測定タイミング
微動探査試験の価格は1測定、約12〜15万円ほど。
現状は新築住宅の場合、ほぼ必須でSWS試験を行うことが確定しているため、2つ合わせると約20万円ほどのコストに。安全には変え難いですが、そもそも耐震等級3+制震ダンパーを初めから検討していれば、仮に地盤が揺れやすかったとしても、最大限の対策を打っているため、勿体無いコストになるのか・・・しかし、土地購入前や建設後に測定、リノベーションの工事前に測定は大きなメリットがあります。
まとめ
気密測定のように、気密性能は現場で実測して数値を確かめる会社が増えてきた印象です。
もしかしたら、近い将来耐震性能も建設後に揺れやすさを実測する未来が近いのかもしれません。
この東三河は南海トラフ対策必須エリア。
いつかは必ずくる。もしかしたら明日かもしれない。
そんな思いで弊社としては、引き続き情報収集を続けていき、この微動探査を積極的に活用していきたいと思います。
もしご要望やご質問がありましたら、お気軽にお問合せを頂ければと思います。
ご覧いただきありがとうございました。