こんにちは。建築屋kateiの朝倉です。
現在、参加しているミライの住宅の空調セミナー。
岐阜県の凰建設(株)の森さんが代表理事を務めている、プロのためのプロによる空調講座。
非常に内容のレベルが高く、座学的な基礎から本質的な理解、実務でちゃんと反映できるような技術の習得まで、かなり濃い〜い内容の講座です。
先日、その講座の会場が、私の自宅で行われました。
全国参加者の方々が、持ち回りのような感じでモデルハウスや実物件を会場に提供します。
前回は滋賀の夏見工務店の夏見さんのご自宅。
意匠も性能も、風情もすごく良かったな〜。
次回は横浜のあすなろ建築工房の関尾さんのご自宅です。
とても楽しみ♪
私の自宅も、未だかつて無いほどの大人の方が集まりました。
総勢17名。流石にキャパオーバーですね。
みんなで真剣に勉強します。
そもそも何を学んでいるのか。
一言で表せば、空調なんですが、その空調を設計するために知識を深めています。
皆さん湿り空気線図って見たことありますか?
これです。物理の授業とかで見た事あるかも。
これが、空調を理解するうえで、欠かせないもの。
これらを用い、室内の温度や湿度など色々な数値を読み取り、多くのデータと合わせて、家全体や個室などの空調を設計していきます。
ビル空調など、大きな建物では当たり前の空調設計ですが、一般の住宅ではそこまで考えられていないのが現状です。
建物やご家族それぞれの考え方にもよりますが、住宅の性能が当たり前になってきた現代では、空調設計はこれから必ず必要になってきます。
講座では、実物件の換気装置の測定も実施します。
「24時間換気」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
現代の住宅では、室内の空気の入れ替えは基本的には24時間動いている換気扇で行います。
これを24時間換気(計画換気ともいう)と言います。
現在の建築基準法では、部屋の空気が0.5回/h、つまり2時間に1回は入れ替わるようになっていなければなりません。
空気を入れ替えるという事は、汚れた空気を新鮮な空気に入れ替える事を意味しています。
嫌なニオイやCO2(二酸化炭素濃度)を薄めることが目的です。
換気がうまくいっていない住宅は、部屋の匂いが残ったり、CO2濃度が高まり、体調不良の要因になってしまいます。
現在住んでいる、アパートや住まいでこんなような、症状出たことありませんか?
もしかしたら、二酸化炭素濃度が影響しているかも。
密閉された寝室や、人が多く集まる場所などは、簡単に二酸化炭素濃度が高まります。
近頃の新築住宅などでは、当たり前にこの24時間換気が行われているはずです。
ただ、この24時間換気が計画通りに動いているか?
これも実際には、実測して確かめる他ありません。
なぜなら、実際には計算通りに動いていない可能性が高いから。
それは、住宅の性能や、風、屋内のその他の換気設備の影響などが関係する可能性があるから。
特に家の気密性能が悪いと、そもそもこの換気扇がしっかりと働いてくれません。
気密が中途半端な住宅は、画像の左のような状態。
一生懸命換気扇が働いてくれても、【余計な穴の空いたストローでコップの水を吸っているようなもの】、なんとなく想像がつきますよね。
気密性能は、人の生命を守る意味でもとても重要な役割があります。
下の画像は私の自宅の、換気扇の風量を測定している様子です。
自宅には、第一種ダクトレス式の24時間換気の換気装置を壁に4台程、取り付けてあります。
1台あたり、40立米/h計算では換気してくれているのですが、トイレの換気扇が動いてしまっていたのもあって、測定上は排気約36立米/h程の風量。
気密性能が高いからこそ、シビアに数値に出てくれているという嬉しさ反面、壁式換気扇の難しさを改めて実感。
キッチンのレンジフードを【中】で動かしてみると、排気風量は約4分の1に。
キッチンレンジフード【中】と、トイレ換気扇で約400立米/hは余計に排気しているので、それは影響をもろに受けます。
実際の生活には支障がありませんが、それぞれの換気扇の使い方や、意味あいをしっかり理解する必要があります。
では実際に換気されているのか?
私の自宅の測定デバイスの、2024年4月と5月の二酸化炭素濃度の様子。
1000ppmが一つの基準になってきますが、常に安定して低い状態が保たれております。
目で見て確認できると、安心材料になりますよね。
ついでに第一種換気扇の熱交換の具合も一緒に確認。
測定時期の気候が良かったので、無理やり室内側からドライヤーと霧吹きで負荷をかけます。
こうすることで、無理やり熱交換させます。
70秒毎に風向きの出入りが入れ替わりますが、ほぼほぼ一定の温度・湿度。
しっかりと熱交換してくれているのが、確認できました。
さすがドイツ発祥の機械!笑
ただ、勉強していくと必ず熱交換式の換気扇が良いというわけでは無いので、これがまた奥が深い。
地域性やメンテナンス性、オーナー様の性格、コスト、色々なことが関係してくるので、適材適所で選定が必要になってきます。
最後に小屋裏にある、エアコンの測定も行いました。
この時、気づきましたがおそらく私の自宅のエアコン壊れてしまっている。笑
ほとんど、冷たい風が出ません。直さねば。。
汎用エアコンを使っている良さは、こんなトラブルでも特に専門メーカなどではなく、いつものエアコン屋さんにお願いできるところ。
さて、測定時のエアコンの吹出し風量は約600立米/h。
小屋裏の空調室から、機械ファンでLDKなどに140立米/hの換気扇4台とプラス100立米/h1台で配っていますので送りの空気はほぼOK。
ただ、リターンの風量が、ガラリなどの影響もあり実際には280立米/h程不足になってしまっていました。もう少しリターン口まわりを調整すれば、もっと効率よく小屋裏エアコンが働いてくれそうです。
汎用エアコンによる、全館空調は知識と経験、そして勉強を常行なうことが改めて大切と再度実感。
長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
しっかりと、換気・空調を設計していきたいお客様、気密施工に不安があるなど、小さなことでも結構ですのでお気軽にお問い合わせいただければと思います。
少しマニアックな内容もあり分かりづらかったかもしれませんが、最後までご覧いただきありがとうございました。