建築の舞台裏【土台から上棟までの流れを解説】

こんにちは。建築屋kateiの朝倉です。
近頃、業務が重なり中々ブログの更新ができておりませんでした。

現場の進みとブログの進みがだいぶズレてきてしまっていますが、それを取り返すかのように今回はまとめてご紹介致します。

下の写真は以前ご紹介した現在工事中の新築現場の基礎完了風景。

このあと大工さんによって建物の足元を支える土台を設置します。

これが土台を設置した様子です。
土台の下に見える2㎝の黒い部分は気密パッキンというものです。

この物件は基礎断熱ですので、床下が室内と同じ空間の考えになります。その為、外気を床下にいれないために、基礎と土台の間に隙間ができないような構造になっているパッキンを使用します。

パッキンを使用することで基礎から土台が離れるため、雨水の染み込みを防止し耐久力の向上に効果があります。

弊社では土台の材料に乾燥された12㎝角のヒノキの無垢材を使います。
無垢材には芯と呼ばれる部分があります。

この芯というのは木の中心に近い部分の材料の事を指します。

この芯材は白蟻に食べられにくいというメリットがあります。

最近はメーカー住宅を中心に集成材を使うことが多くなってきました。
集成材にも沢山いい部分があるのですが、集成材には芯がありません。

こんな感じです。

白蟻は木の外側の柔らかいところ好んで食べます。
反対に芯の部分は白蟻は嫌います。

例えば、人間でもキャベツの外のやわらかい葉っぱの部分は食べても硬い芯の部分ってほとんど食べないですよね。それに似ているな〜と思います。

集成材は貼り合わせてできているため、白蟻の観点で見た時には脆く、薬剤等の処理に頼らざるを得ません。

弊社では、この白蟻対策の観点から材料は白蟻に強いヒノキの無垢芯材を使用し、さらにホウ酸処理を行うことによって、より安全性を高めております。

次に、建物内部側の間仕切り壁下の基礎土台部分です。
建物の外周部と違って内側は通気基礎パッキンというものを使用します。

こうする事で、床下空間の空気が循環しやすくなります。

土台伏せが完了し、上棟までの間に結構な量の降雨!
天気ばっかりはどうしようもないものですよね。

構造木材自体は養生をして濡れないようにしますが、多少濡れてしまっても元々含水率が14%ほどまで乾燥してある木材を使用するため、一時的な降雨等ぐらいであれば、水が染み込んでしまって強度が低下することはありません。

鵜呑みにせずに確認することは大切ですが、濡れてしまった場合でも、しっかり乾かせば大丈夫です。
養生には少しでも乾きやすいように外壁等でも使用する透湿防水シートを利用しています。

また基礎にも水がたっぷり溜まってしまっているけど、大丈夫!?と心配になるかもしれませんが、こちらも全く問題ありません。

コンクリートは湿潤養生と言われるくらいで夏場の暑い時期やなんかはわざと水の中に浸したりもします。

こうすることで表面の急激な乾燥などを防いでくれます。

意外に恵みの雨なものかも!笑

でもお客さんは心配になってしまうと思いますので、それぞれ上2つの件も、事前にしっかりとご説明をさせて頂いてご理解を頂くことが大切かなと思います。

雨が上がった次の日です。

水もずっとこのまま溜めておく訳にはいかないですが、ここで救世主が登場します。

そう我らが水中ポンプくんです。笑

現場仕事用のもので、底の部分に吸い込み口がついているため、基礎内部の底部分に水が溜まってしまったものを抜くことに適しています。

スイッチを入れたらウーーーン!!とあっという間に水が抜けていきます。

ほらっ!しっかり綺麗に水が抜けていますよね。

なぜ高い所から写真が取れるかというと、建て方作業の前に先行足場と言って、先に基礎の周りを囲うように足場を組み立てます。

これをやらないと高所での作業が出来ないのです。

構造材の材料も搬入が完了し、これで建て方作業の準備はOKです。

今回の上棟作業は、レッカー車が来る前日に一階部分の柱のみを建てておくことにしました。

これは上棟当日の天気や、屋根工事のボリューム等を総合して判断し、建て方作業当日に無事に棟上げまでを完了できるように計画をしたためです。

弊社の建物躯体は、昔ながらの在来軸組工法をベースにしておりますが、断面欠損が大きくなるような、隅の通し柱はプレセッター金物を使用し断面欠損を抑えるように配慮をしております。

在来軸組工法を利用しているのは、日本における長い実績と、価格面、大工であれば誰でも理解できること、慣れている事が理由です。

現代的な金物接合のメリットも取り入れ、ハイブリッドな工法をとっております。

ハウスメーカーを中心に、特殊な名前の〇〇工法等ありますよね〜。

〇〇工法だから大丈夫は注意してくださいね〜。

もちろん良いんですけど、あくまで大切なのはしっかりと構造計算(耐震等級3が理想)をすることと、しっかりと丁寧に現場施工をしていく事です。

ですのでよく聞かれますが、昔ながらの工法は弱いんじゃない?と質問を受けたりしますが、大事なのはそこじゃないって事なんですよね。

少し愚痴混じりの余談でした。笑

いよいよ上棟当日を迎えます!!

朝早くからレッカー車が来て大工さんが黙々と準備を始めております。

本日の天気は一日中晴れマーク、一安心です。

前日に1階の柱部分は建ててありますので、はじめに隅の通し柱(1階〜2階まで繋がっている柱)を施工していきます。

通し柱の部分は先程あった、プレセッター金物で施工します。

隅の部分は梁が2方向からぶつかって来るので、写真のような感じの金物を利用して通し柱の欠損をなるべく小さくするように配慮しております。

次に2階の床の梁(1階の天井)を架けていきます。

梁の外周部分で金物が出てくるところは、金物が内部と繋がっているため、冷えてしまうと熱橋になってしまうため、写真のような感じでウレタンを吹き付けて部分的に補強をしていきます。

地味な作業です。。ちょっとしてことが大切だったりします。

1階の梁ができたら2階の床下地になる構造用合板を貼っていきます。

この合板は厚みが24mmあり、一般的には剛床工法と言います。

規定の構造用くぎを正しい間隔で施行することで、床の水平ラインの耐力を大きく高めてくれます。

これも構造計算によって根拠が紐づいています。

2階床の下地合板を貼ったらここでまた一仕事。

イージーコート!

フクビ化学工業さんから出ている床養生材です。

こちらを2階床合板が貼れた段階ですぐに養生をしていきます。

透明で床が見やすく、裏面が簡易接着性があるため施工が容易です。

養生が終われば続いては2階の柱を建てていきます。

この物件は、2階がリビングになりますので、2階は開放的な空間になるように設計しました。

柱が少なく見えるかもしれませんが、許容応力度計算で耐震等級3を確保しております。

この間に下屋根部分も進めていきます。

屋根部分は梁を斜めに架ける登り梁を利用します。

弊社では耐力壁に外周部分に施工する構造用パネルを利用しますので、このように2階の壁と下屋根部分がぶつかる部分は、建て方の内に耐力壁を施工していかねばなりません。

ここでさらに一手間を加えます。

柱の外側に何やら黒いテープのようなものが見えるかと思いますが、これは気密パッキンというもので、この上から構造用パネルを打ち付けることで耐力壁部分で建物の気密をとることができます。

今回はモイスを使用します。

耐力壁(モイス)の施工が完了したら次に下屋根の登り梁上の構造用合板を施工します。

登り梁+構造用合板24mm厚を規定の釘ピッチで施工することで、先程の2階床と同様に建物の水平の耐力を確保することができます。

大工さん達が頑張っているなか、

運送屋さんが鉄骨階段を持ってきました!

重さが約500キロほどあり、建物が建ってからでは施工が難しいため、タイミングを合わして上棟当日に施工します。

鉄骨の階段がレッカーで空中へ。。。

あらかじめ予定してあった位置に無事におさまりました!

一発勝負なのでドキドキです。

次に、建て方作業は2階の大屋根部分に入っていきます。

下屋根同様に水平耐力を確保するために、登り梁+構造用合板の仕様になります。

順序よく大工さん達が組み立てていきます!

気密を合板面で確保できるように大屋根部分にも気密パッキンを施工します。

気密パッキンが施工が終わったら構造用合板24mmを貼っていきます。

屋根の上は見晴らしが良いですね。

次に構造用合板の上に透湿防水シートを施工します。

こうする事で防水性能をさらに向上させることができます。

この透湿防水シートの上に垂木を施工します。

下屋根部分も同様に透湿防止シートを施工します。

透湿防水シートは高耐久のウルト社製のハイムシールドです。

さて建て方も屋根作業になりいよいよ大詰です。

まずは屋根の外側部分から施工していきます。

屋根の外側部分はなるべく軒をシュッと薄く見せるために、垂木材を組み加工して飛び出しているように取り付けます。

屋根の隅の部分はこんな感じで隅木材で補強しています。

しっかりと屋根通気が流れるように横垂木へ通気加工も忘れません。

今回の物件は浜沿いということもあって、屋根仕上げにいぶし銀の和瓦を採用しておりますので、屋根の荷重も考えて、しっかりと補強しています。

でもなるべくシュッと薄くすっきり見えるようにしています。

屋根の真ん中ら辺も施工していきます。

この垂木の間が屋根部分の通気層になります。

次にこの垂木の上に屋根下地用の構造用合板12mm厚を施工していきます。

何やら頂部の部分が30mm程度スリットのように溝で開いていますが、これは空気が抜けていく開口になります。

この開口が無いと、垂木の間を通った空気が棟で抜けず、耐久力の低下等につながる恐れがあります。

屋根の天辺が開いていて雨が漏れないか心配になるかもしれませんが、この後しっかりと空気が抜けつつ雨が入らないような施工をしていきますので心配はいりません。

日が暮れてきましたねー。

なんとか無事にここまで来ることができました。

屋根下地合板の上には防水のために高耐久のアスファルトルーフィングを施工していきます。

日が暮れる前に完了できて良かったー。

上棟ホヤホヤでパシャリと一枚。

良い感じの夕焼けバックです。笑

南側からの風景です。

上棟式も執り行いました。

これからの工事安全とご家族様の繁栄を祈願します。

A様この度は誠におめでとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。

次の日が天気が崩れる予報がありましたので、最後に雨等に当たらないように養生をします。

弊社は贅沢に雨養生は、外壁用の透湿防水シートを使用します。

最終的には処分してしまうんですが、こちらの方が綺麗に養生できますし、見栄えも良いですし使い勝手が良いと考えております。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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