こんにちは。建築屋kateiの朝倉です。
皆さん住宅の屋根と言えば何を思い浮かべますか?
今回は数ある屋根材の中でも、昔から日本で使われてきた和瓦屋根の施工の様子をご紹介したいと思います。
弊社では住宅の屋根材をご提案する際には、瓦屋根もしくはガルバリウム鋼板の屋根のどちらかをご提案致します。
下の写真がガルバリウム鋼板(縦ハゼ葺き)の屋根。
最近、街中でもよく目にするかと思います。
そしてこちら↓が和瓦(和型いぶし銀)の屋根です。
日本人には馴染みが深いと思います。
私は瓦屋根の中でも特に昔からある和型(いぶし銀)をお勧めすることが多いです。
現代の和瓦は、昔からの良さを残しつつ、耐久力をさらに向上できるような工夫が盛り込まれております。
屋根工事は主に上棟直後からスタートしていきます。
まずは、屋根葺きの下地材の上に防水紙を施工します。
これはアスファルトルーフィングと呼ばれ高い防水性能があります。
そして防水紙の上に木桟を施行します。
この桟は瓦下での通気層の役割を果たし、屋根葺き下地材の耐久力を向上させます。
次に直行方向にさらに桟を流し、瓦職人さんが瓦材の割り付けを確認します。
現代では昔のように瓦の下に土葺きをする事は住宅ではほぼ無くなりました。
これは耐震性や施行性を考慮したものです。
こんな感じ↓で瓦の割り付けを確認していきます。
現代では和型の瓦材でも、一枚一枚を桟にビス止め固定ができるように瓦が加工されています。
ですので、台風で瓦屋根が飛んでしまったりというネガティブなイメージはほとんどありません。
そして、和型の瓦と言えばこの鼻先(水下)のデザインに特徴が現れます。
今回の工事のお宅は、栄四郎瓦さんの州浜軒(すはまのき)というデザインが採用されます。
こんな感じで砂浜の波をイメージしたかのような印象があります。
結構すっきりとしていてゴツすぎず良い感じです。
初めに割り付けを確認しているので、鼻先(水下)から順に施行をしていきます。
まだこんなに沢山あります。
ガルバの屋根であればほぼ1日〜2日で葺き終わりますが、和型の瓦屋根はそうはいきません。
職人さんの実力と根気がいる作業なのです。
州浜軒のデザインはこんな感じです。
仕上がってくると、より波のような印象が強くなりました。
現代の和型の瓦屋根は、最近採用されることが多い、屋根通気工法にも対応できます。
屋根の棟部分(頂上の部分)に見えるグレーのスリットがある部材が瓦屋根用の屋根換気部材です。
こちらを適切に設置することで、屋根通気に対応できます。
だいぶ瓦の施行が進んできました。
棟部分から何やらステンレスの突起のようなモノが見えるかと思います(下の写真)。
こちらは強力棟と言って、棟瓦の積みを補強する部材です。
昔の瓦屋根の棟瓦の施行方法だと、土葺き中心で施行する為、経年劣化してずれてしまったり、滑落してしまったりする問題がありました。
現代においてはこういった問題も改善されております。
瓦屋根の端っこ(破風部分)を最後に施行していきます。
職人さんが水糸(写真のピンクの糸)を貼って通りを確認します。
ビシッと揃えていきます。
職人さんの腕の見せ所です。
そして続いては棟瓦の施行です。
頂上の部分はさらに腕の見せ所です。
弊社のお願いしている瓦職人さんは、腕がよくこだわりも強いのですが、この棟部分が特にそうです。
頂上の丸いお椀のような形をしている瓦があると思いますが、こちらをまっすぐ綺麗に合わせていくのが非常に難しいそうです。
こうやって小口面を一枚一枚削って微妙な調整を繰り返していきます。
この接合点を、、
ビシッと合わせます。とても綺麗に揃っています。
棟部分が出来上がってくるといよいよ完成が近づいてきます。
それにしても綺麗です。
のし瓦と呼ばれる平べったい瓦も積み方にこだわり、よく見ると曲線になっています。
地上からはほぼ見えませんけどね。
さらに、昔はよく白い漆喰で埋めていた部分は、瓦で出来た材料で埋めます。(赤い文字で「ここも瓦」と書いてある部分)
その為、時間が経つと漆喰が落ちたり剥がれたりする問題がありましたが、弊社の施工ではそういったことも起こりません。
さらに極め付けは、社寺仏閣などではよく目にしますが、棟瓦が屋根の端(鬼瓦)に行くほど微妙に上がるように施行します。
こうする事で屋根が下がったように見えず下から見た時に美しいのだとか。
確かによく見ると微妙に反り上がっています。
鬼瓦も昔のものと比べるとだいぶすっきりとした印象です。
夕焼けバックに完成です。
いかがでしたでしょうか?
少しでも職人さんのこだわりや、瓦屋根の美しさ、和型の瓦屋根の良さが伝われば嬉しいです。
和型の瓦屋根は大変手間のかかる作業ですので、イニシャルコストはガルバ屋根と比べると約2倍〜2.5倍はかかってしまいますが、その分実績のある確かな耐久力と日本家屋に溶け込む愛着の湧くデザイン性がそこにはあります。
経年美化していく長持ち素材の一つです。
興味のある方は是非採用を検討してみて頂ければと思います。