こんにちは。建築屋kateiの朝倉です。
西尾市で行っている、性能向上フルリノベーション工事。
今回は約17坪程の平屋建ての木造住宅に約10坪程増築を施して、新築同等の性能と住み心地、耐久性を実現するプロジェクトです。
今回の工事では、既存宅に新築同等の性能を付加しようと思うと、耐震や断熱•気密性能、間取りや意匠の改善が必須になるため、一度内装や外装を全て剥がしスケルトン状態にする事が理想的と判断させて頂きました。
増築工事も行うので敷地に元々ある樹木や石が、今回の工事に干渉する所がある為、1番初めに庭師さんに植栽の移植などを行ってもらいます。
雑草も自由に生えていますので、まずは草刈りから。
そして増築工事を行う前に、既存宅の解体工事から取り掛かります。
まずは内部から解体に取り掛かりますが、床材を剥がしていくと、シロアリの蟻道が目視で確認できました。着工前のインスペクションの時点で、床下に潜らせてもらった際に分かっていた事ですが、床が無くなってしっかりと被害状況が確認できます。
所々白蟻被害を受けている箇所があるので、構造材の交換や、補強を加える必要があります。
この写真のような砂で道みたいになっているのが蟻道(シロアリの通り道)です。
解体工事といっても、一般的な建物解体(全てを取り壊す)と違い元々の部材を大切に残したい為、大型の重機などは使えません。
ですので、手壊しと言って職人さんが1つずつ順番に床や天井を剥がしていきます。
慣れている職人さんに依頼しないと、手間費が大幅に掛かったり、元々の材料を乱雑に扱われてしまうケースもありえます。
弊社の場合は、手壊しに慣れている解体職人と、弊社の大工が一緒になって手壊しに取り組むようにしています。
弊社の大工を解体に参加させる理由としては、大工(つくり手)が新しくつくりなおす事を想像しながら、解体ができますし、次の作業のイメージもしやすく、また丁寧に解体ができると考えている為です。
闇雲に解体する訳ではなくて、順番を考えて内部の仕上げを剥がして中間仕切りの土壁を抜き、仮筋(仮の筋かい補強の略)と言って斜めの補強材を入れながら解体をしていきます。
解体中に建物が倒れてしまっては大変ですから、こうする事で既存の壁を壊してしまった事による強度の低下を補います。
外壁を残しているのは、解体中の建物内の防犯性や、先ほどと同様に強度を意識して最後に解体をするようにしています。
ある程度、屋中の解体工事が進んだので、オーナー様にも現場の中をご覧頂きました。
現場の進捗状況や、元々の構造のつくりなどをご説明をさせて頂きました。
オーナー様のご両親にもご参加を頂きました。
当時建築時にしか見ることができなかった骨組みですが、時を超えて久しぶりにお目見えです。当時建てられた思い出を思い返され、感慨深いものがあるな〜と私も感じました。
内部がある程度解体できたので、次は屋根の解体に取り掛かります。
既存宅の耐震性能の向上で選択肢の一つに入るのが、屋根の荷重を減らす事です。
新築では、仮に屋根が重くてもその下の骨組みの耐震壁を強固にしておけばいい訳ですが、リノベーションの場合は同じように耐震壁を強固にしたとしても、元々の基礎や骨組み全てを取り替えるのは難しいため、強固にした分基礎や骨組みに地震力が大きく伝わり、そのエネルギーに元々の基礎や骨組みが耐えきれなくなって破壊してしまう恐れがあります。
ですので、あらかじめ建物の重さを減らしてあげて、ダメージを少なくしバランス良く適度に耐震壁を補強するのが理想的となります。
今回の物件でも、屋根は土葺きの瓦屋根。
元々一部雨漏れもあったので、瓦と土を降ろして屋根の葺き替えを行います。
今回の計画では、土葺き瓦屋根→ガルバ鋼板屋根に変更をして建物の軽量化を計ります。
屋根の土も職人の手によって少しずつ下ろしていくので、なかなか大変な作業です。
チームのみんなには怪我なくスムーズに作業を進めてもらって感謝です。
屋根の瓦と土を下ろしたら、外壁部分を解体していきます。
外壁の解体が完了すると、建物の骨組みだけが残ってスケルトンの状態になります。
外壁や内部の土壁を撤去することも、建物重量を減らす事になるので、耐震性能の向上には有利に働いてくれます。正確には土壁にも若干の耐力が見込めるのですが、工事内容や施工規模、性能向上、完成した状況など、様々な観点から鑑み判断をしていきます。
ここまで骨組みがあらわになれば、傷んでいる構造部材なども比較的交換がしやすくなります。
もちろん、全ての物件でこの方法が正しいわけではありませんので、リフォームやリノベーションをお考えの方は、経験豊富な建築士に相談をすることをお勧め致します。
今回は解体工事も単純ではないですよ〜という観点からブログを書いてみました。
ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧を頂きありがとうございました。