こんにちは。建築屋kateiの朝倉です。
大工造作キッチンとは、現場の大工が現場で材料を加工し、一つ一つ手作りで作るキッチンのことを指します。大工造作キッチンは、オーダーメイドキッチンの一種であり、ハンドメイドならではの細かいディテールや、住宅の仕様と馴染むデザインが特徴です。
オーダメイドキッチンメーカーや家具屋さんのつくる造作キッチンは、一般的に他のキッチンよりも高価であり、製作に時間がかかるため、納期が長くなることもあると言われています。
しかし、大工造作キッチンは、大工工事の延長線上で工事ができ、弊社で器具や収納扉なども手配するため、費用を抑えることができます。
弊社建築士の自邸「大木を眺める平屋の家」のキッチンは、かかった費用が130万円(本体105万円、背面収納25万円)(税抜)と、こだわったシステムキッチンと比べても大差ない費用で実現することができたと思います。
大工造作キッチンにご興味のある方の参考になればと思い、以下に「大木を眺める平屋の家」のキッチンの仕様をまとめました。
まず、主な要望は、
・1日分の食器類をまとめて洗える「海外製食洗機」の導入
・シンクの下にゴミ箱置き場をつくりたい
・ビルトインのディスペンサーをつけたい(食器洗剤用)
・収納はできるだけ多くしたい
・四角いシンクがいい
でした。
できあがったキッチンは、こんな感じです。
キッチン天板は見た目の好みと清掃性や耐熱性を考えてステンレスに。
パン生地を天板の上でそのまま捏ねることもあるかもしれないと思い、ヘアライン仕上げを選びました。(バイブレーション仕上げだと、細かな研磨粉が残っている可能性があるそうです。)
加熱機器は、IHで魚焼きグリルはなしにしました。理由は、下を広く収納に使いたかったのと、魚は家電のオーブンレンジで焼くと決めていたからです。(グリルの掃除が面倒なので…)
この写真の頃は、コロナの影響でミーレショックが起きていて、当初考えていたミーレの食洗機が入荷されず、まだ設置されていません。(現在はガゲナウの食洗機が入っています。)
背面収納は基本的に「隠す収納」で、上部に吊り戸棚と下部に引き出し収納9ヶ所+オープン収納(キッチンワゴン用)をつくりました。
壁面については、キッチン側は掃除のしやすさからタイルに、背面側は消臭効果もある自然素材のシラス壁を塗りました。
外壁にも使用しているシラス壁についてはこちら
背面収納の他にパントリーがあるので、そちらに一部未開封の食品は保管してありますが、引き出しにはこんな感じに乾物や食器、調理器具などを入れています。
左の列には食器類。
コーヒー器具や乾物、学校グッズ。
カトラリーや袋などの消耗品、麦茶パックなど。
ボウルやよく使う調理器具はシンク側に収納してあります。
続いてこちらは上部の吊り戸棚。
下の引き出し収納よりは使用頻度が低くて、軽いものを収納しています。
ちなみに地震の時の飛び出し対策に、耐震ラッチを付けてあります。
シンク下のゴミ箱スペースには、45リットルサイズのゴミ箱1つと、27リットルサイズのゴミ箱を2つ置けるように設計しました。
シンク近くには、フードプロセッサーやブレンダーなどを使うときに便利なコンセントを。その下にはタオル掛けバーを付けました。
コンロの下には、ラップやまな板などを置けるパイプ(上段)を付け、その下には引き出せるワイヤーシャルフを2段。完全に乾いていない鍋やフライパンでも置いておけます。
コンロ下の1番左には、調味料や油などを収納できる引き出しを付けました。
要望にもあった四角いシンクは、少し角にRのついたシンクを選びました。もっと角が付いたスタイリッシュな四角いシンクもありますが、Rがついている方がお掃除はしやすそうです。
水栓器具は、クリンスイの水道水と浄水器が一体型になっているビルトイン型を選びました。
シンクの下に浄水器用のボトルを置いて1年毎に交換するタイプです。
水栓器具の右にあるディスペンサーは、食器洗剤用のビルトイン型。食器用洗剤を詰め替えて使います。(手洗い用にも使える肌に優しい洗剤にしています)
市販のボトルを置かなくていいのでスッキリします。
レンジフードは富士工業の同時給排気型。上部を幕板で囲み、空間に馴染ませました。
以上が「大木を眺める平屋の家」の大工造作キッチンの仕様でした。
収納できるもののイメージがしやすいように収納の中身も載せましたので、ぜひ参考になさってください。